節税のコツ!

中小企業の経営者の税金に対する考え方は、おおむね以下に分類できると思います。

@税金を払うのは国民の義務なのできっちり払う。
Aそこそこの利益を出して、そこそこの税金は支払っても良い。
B銀行にお金を借りないといけないので、無理をしても利益を出して税金を払う。
C節税対策をしたり利益を減らしたりして、できるだけ税金は支払いたくない。
D赤字決算にしてもいいから税金は支払いたくない。
Eどんなことをしても税金は支払わない。

@とEは極端なので、たいていはA〜Dに当てはまるのではないでしょうか?
特にEは脱税になってしまいます。
脱税を簡単言えば、次のような初歩的な行為が大半です。
・売上を計上しない。
・架空人件費・経費を計上する。
・個人費用を会社経費に付け替える。
こんな行為は税務署の調査が入ればあっという間にばれますのでやめておきましょう。 

そして、経営者がBCDを感覚的に思うのは、やはり資金繰りの問題があるからだと思います。
例えば、1000万円の利益を出している会社が、税率を40%とすると、税引き後利益で600万円になります。
単純にいえば、これだけの資金が残るはずですが、3000万円を銀行から5年で借り入れていたとすると、年間の返済額は利息を除いても600万円になります。
そうするとこの会社には、せっかく利益を1000万円出しても、お金が何も残らないことになります。
この場合、経営者が考えることは次の3つです。
@借入金の返済額を減らす。
A新たに借入金を増やす。
B税金を減らす。

@とAは中々困難ですが、B税金を減らすのは色々と工夫の余地があります。
従って、資金繰りを楽にするためにも節税対策をすることは非常に重要です。

また、節税とは合法的に税金を安くする方法ですが、租税回避行為というものがありあす。
脱税と節税の間に位置しているモノと理解していただければ良いでしょう。

租税回避行為とは、税制の網目をくぐり抜けてグレーゾーンを巧みに使う税金回避策です。
脱税ともいえないが、なにか胡散臭い。それが租税回避行為です。
当然税務署も目を付けますし、素人が安易に手を出すとやけどします。
しかもその判断には課税庁の後だしジャンケンというリスクも待っていますので、これも避けた方が賢明です。

では、次に節税の内容をもう少し説明します。
節税は大きく4種類に分ける事ができます。

   税金が減る       税金を先送りする
 お金が出る

 

 2

 お金が出ない

 

 3

 

この組み合わせがとても大切です。
なぜならば安易な節税をする事で、お金が増えるどころか、減ってしてしまうことがあるからです。

上手な節税とはお金が出ない節税をすることです。
お金を増やすコツは、自社がしようとしている節税がこの4分類のどの部分に該当するのか
把握してから節税対策をする事です。

@「お金が出る×税金が減る」

例えば、決算期末に、消耗品として損金計上できる備品を購入する、広告宣伝費を使う、社員旅行に行く等、
実際にお金を使って利益を圧縮することです。
しかし、このような節税ばかりしているとお金が出るばかりなので注意が必要です。
資金繰りの悪化を招く原因にもなります。
例えば500万円の利益があったとしましょう。
もし節税対策をしなければ、500万円×40%=200万円の税額です。
このとき会社には500万円−200万円=300万円のお金が残ります。

次に節税対策として250万円の経費として消耗品を買ったとしましょう。
(500万円−250万円)×40%=100万円の税額です。
この場合は500万円−250万円−100万円=150万円のお金しか残りません。
確かに消耗品を250万円買って節税をすれば
税額は「200万円−100万円=100万円」安くなりますが、150万円しかお金が手元に残りません。

A「お金が出る×税金を先送りする」

例えば、生命保険を利用するものがあります。
基本形は、毎年100万円ずつ保険料を支払いある時点で解約すると80%の解約返戻金が受取れるというものです。
例えば、5年後に500万円の赤字になった時に解約して、400万円を受取り資金繰りを楽にさせ、
かつ赤字のため税金も支払う必要が無いというものです。
5年間ずっと黒字であれば、年100万円の利益を圧縮できるし、赤字のときに利益を補填することができます。
一見良さそうですが、節税にためには5年間ずっと黒字の必要がありますし、払い続ける必要もあります。

B「お金が出ない×税金を先送りする」

例えば、給与計算の締め日が月末で、翌月20日に支払う会社があったとします。
3月31日決算の場合は、その給与は4月20日に支払われるので、3月末の決算時点で3月分の給与を未払い計上できます。
また、業績の良い会社が期末に決算賞与を未払い計上できます。3月決算の法人が4月中に賞与の支払いを行えば、
決算賞与として損金算入が認められます。

これらの節税対策は、節税対策を行った事業年度は、お金を使わず税金が減るため資金繰りには好影響を与えます。
しかし、翌年度には支払いがでてくるので、資金繰りに影響を与えてきます。

C理想的な節税は、「お金が出ない×税金が減る」
まずは、これに該当する税額控除を利用することです。
例えば、中小企業が160万円以上の機械装置や70万円以上のソフトウェアを購入した場合です。
この場合、購入金額の7%を法人税から減額することができます。(法人税額の20%が上限。)
300万円の機械装置を購入すると、法人税が21万円減額されるのです。
300万円の当期分の減価償却費が損金計上されて、それとは別に21万円の税金が減ります。

その他、会社の固定資産で使われていないが帳簿に載っている機械装置やソフトウェアを廃棄して、固定資産除却損として損金算入することで
お金を使うことなく税金を減らすことができます。
以上、これらの節税タイプの特徴を把握して、資金繰りにも注意しながら、しっかりした節税対策を行いましょう。

資金繰りのコツ

 shikin_k.jpg


 

売上が伸びているのに、資金繰りが楽にならない。
儲けたお金はどこに消えたのか?

このようなことにお悩みの経営者の方も多いと思います。
会計上、利益が出ているのに資金繰りが苦しい。何故でしょうか?

この理由は、「発生主義」という会計処理の仕方にあります。
もし、現金主義で会計処理を行えば、売上は入金の時に収益として計上し、経費は現金を支出した時に費用となります。この場合は、会計上の利益と現金残高は大雑把に言えば同じになります。
ところが、現実は、発生主義で経理処理を行っているため、売上は入金の有無にかかわらず、原則として商品等を引き渡した時に売上に計上されます。また、経費も出金の有無にかかわらず、原則として発生した時に経費として計上されます。
従って、売上マイナス経費で算出された利益は、現金の有り高に必ずしも一致しません。

資金繰りが苦しくなるのは、前述したように発生主義による会計処理で、資金の回収と出金にズレが生じるためです。


「図1」を用いて説明します。
仕入れた材料を用いて、商品を生産し、その商品が販売されて、売掛金が回収されるまでの期間の合計日数(生産日数+在庫日数+売掛日数)
から仕入れた材料の支払いまでの期間(買掛日数)を差引いた差額の期間(図1では2ヶ月間)は資金不足になります。
この期間が長いほど、資金繰りは苦しくなります。
つまり、生産日数・在庫日数・売掛日数が長いほど、買掛日数が短いほど、資金繰りは苦しくなります。


そのため、「運転資金」として銀行から借入を行って支払いに充てることになります。売上が拡大しても、その回収が仕入れの支払よりも
遅いためにいつまでたっても資金繰りが楽にならないといった事になってしまうのです。

 

また、設備資金等の固定資産投資を行うと、資金繰りは苦しくなります。
固定資産投資では、お金は建物や機械装置に投下されて、減価償却費という会計処理によって、その回収に長い期間がかかります。
さらに、売上が伸びないのに、給与や家賃等の固定的な経費が増加する場合にも、資金繰りを圧迫することになります。

 

次に、もう少し具体的に企業の損益計算書と貸借対照表を使って説明します。(図2)
貸借対照表は、見方を変えると、右側は、お金の「調達」を示し、左側は、お金の運用方法を表わしています。

さらに、図2の黄色で塗った部分である、売掛債権(受取手形と売掛債権)と在庫の棚卸資産と買掛債務(支払手形と買掛金)の3つを
ひとつにまとめて「運転資金」とします。

式で表わすと、運転資金=(受取手形+売掛金+棚卸資産)−(支払手形+買掛金)

図2の例で言えば、(500+100+300)−(100+200)= 600

そうすると、お金の「調達」方法は、@借入金、A資本金、B利益剰余金の3種類になります。
一方、お金の「運用」は、@現預金、A運転資金、B固定資産(設備等)の3種類になります。

従って、単純に言えば、お金を増やすには、利益剰余金を増やすことと、運転資金と固定資産を減らすことになります。

図3で言えば、利益を100増やして、運転資金を300減らした結果、現預金が400増えています。

 

資金繰り1.jpg